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スマートアグリの可笑しさよ

新潟市でG20農相会合が閉幕。持続可能な農業のための明確な役割を果たすとした宣言を採択。
その中で気になる一文!
「イノベーションが、農業・食品分野への新規参入者、特に若者を引き付けるために重要である」
そうか?
本当にそうなのか!?

情報通信技術や人工知能、ロボット工学を活用しイノベーションを図っているのは、なにも農業だけではない。
いまだに他産業と比べて農業は収益性が低いとか、生産性が低いとか、そういう判断のもとに目指せスマートアグリとのスローガンなら実にむなしい。たとえイノベーションが図れたとしても、他産業もまたイノベーションは進む。
農業を他産業と同じ土俵に載せて、レベルを合わせたとして、若者が引きつけられるだろうか。

今、都市部から農村部へ、暮らしや仕事を求める若者が増えている。
農業をめざす若者も増えている。
その増えている若者たちの感覚と、この国の政府がやたらと進めようとしているスマート農業と、めっちゃズレていることに、なぜ気が付かないのだろうか。

今農村を目指す若者たちの興味は、農業にしかない価値観だ。
他産業と同じ何かではない。
ドローンを操縦したくて農家になっても、作物をいつくしむ眼差しを持たなければ、ただのドローンとしたヤングメンである。
ドローンを操縦しなくても、自然の理に適う仕事ができる村のじいさま、ばあさまは、死ぬまで農家だ。

イノベーションで、誰が得をするのか。
何を見失うのか。何を捨てることになるのか。
よく見極めないとならない。
農産物の市場開放も同然に、よく考えなければならない。
農家は景気のいい言葉に流されない。
農家は威勢のいいことをいう人を信じない。
農家は、耳障りのいい言葉に流されない。

それよりも、昨今の気候が気になる。
村の田んぼが、畑が、用水が、山が、景観が、荒れていくことが心配でならない。
それが農家だと思う。
生産性から考えれば、なぜこんな山奥で農業を続けるのか、そのこと自体がおかしいことになる。
スマートじゃない農業は切り捨てられることになる。

僕にとっては今年の米作り、野菜づくりが大事だ。
毎日、汗と泥にまみれてベトをかまい、水をかまい、作物の生長を楽しみにする。
データも結構。カメラ解析上等。
だけど自分の目と手の感覚と、頭をフル回転させてやってみて、作物が喜んでいるとき、この上ない幸せな気持ちになる。
イノベーションも、自分の農業や手癖に合わせて、道具を手造りしたり、機械を改造したり、不用品を活用したり、そんなイノベーションは農家の得意とするところ。昔から大得意である。

スマートなんちゃらの、入る余地はないのである。
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2019-05-16 21:13 : モノモウス : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

のら紡ぎ唄Vol.20

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▽3月上旬の暖かさといったら、もう本当に冬は終わるかと思うほどでしたが、その後寒い日が続き、何度か雪も降り、足踏み状態。4月になりようやく春めいてきました。今は山陰に雪が残るくらい。例年より少し早い雪融けです。
▽雪が少ないと、心配されるのは田んぼの水です。この地では3mも積もる雪が米づくりに欠かせない水に変わります。雪融け水はすぐに川に流れるものもありますが、多くはブナの森が吸い上げ山の伏流水となり、抱負な水量を持続します。しかし雪の少ない年は水量が減ってしまいます。
▽なので水がまだある早いうちに、田植えを終えてしまいたい。村中に焦る気配が漂っています。のんびり屋のたましぎ夫婦もいつもより早い春作業を始めました。

▽種もみを水に浸け、納屋からガタゴトと道具を引っ張り出し、ネギや盆花のタネから蒔きはじめました。田んぼをぐるりと見て回り、雪の重みで崩れた土砂をどかし、山水を引き込む溝を掘り……やることは盛りだくさん。あ、すじ撒き(お米の種まき)の準備もしないと。

▽86歳で現役農家のゲンイチさんが、昨秋から考えていたというアイデアを提案してきました。我が家の前に稲束をかける「はさ」を作ろうというのです。
今まで無農薬のこしひかりは、田んぼの中に三脚を立てたり、他人様のはさを借りて干していました。家の前にはさができれば、効率的ですし、なにかと干しものには便利です。なによりこのじい様が、目をキラキラさせて「どうかね?」と提案してくるときは大概面白いもの。乗らないわけにはいきません。この時点で夕方3時30分。
▽すでに秋冬に目星をつけて伐り倒しておいたという木を集めて回ることに。太さ40㎝長さ6mの大木を6本、あちこちから運び、深さ50㎝の穴を6カ所空け、そこにドコドコと柱を立てました。夕方6時には終了。あっという間の出来事でした。その間、木の倒し方、重い木の積み方、穴の掘り方、木の立て方と、細やかな技と工夫がたくさん出てきて、とても勉強になりました。昔からこの地で生きてきた人の知恵と経験は本当に芸術的です。
▽このはさ、秋までは例えばカボチャを空中栽培したり、朝顔を咲かせたり、使い方を考えるも楽しいです。そしてなにより、秋にこのはさいっぱいに黄金色の稲束をかかることを想像すると、もう嬉しくてうれしくて!

▽今年はまた田んぼが増えました。冬の間作付けをあれこれ考えて、稲作は現状維持。野菜やソバを増やすことにしました。野菜は手がかかりますが、今回新しく借りる田んぼは水が乏しい田んぼ。畑として使うほうがいいかなーと考えました。また忙しくなります。でも夫婦力を合わせて、なんとか頑張りぬきたいと思います。

▽歩き始めた娘は毎日お外に行きたいと嘆願。お日様を浴びて、よちよち歩いたり、畑で土や草をいじったり、毎日冒険です。
▽僕達夫婦も、毎年新しいことに挑戦しながら、終らない冒険を続けています。今年はどんな発見があるでしょうか。どうか応援よろしくお願いします。
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2019-04-30 04:09 : のら紡ぎ唄(農園通信) : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

春が始まりました

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家の前の「たましぎガーデン」にセツブンソウが咲いた。

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まだ山道には雪が残るが、今年から借りる田んぼを見に行ってみた。なかなか高度感あふれる棚田に、さすがに怖いもの知らずの娘もたじろく。

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86歳のゲンイチさんが、昨秋から温めていたアイデアを提案。我が家の前に稲束を干す「はさ」を立てようというのだ。
老人会で気持ちよく酔っぱらったゲンイチさんは興奮気味に今からはさを作ろうという。午後3時30分。
すでに何本か木を伐ってあるというので、一緒に山に行く。えらい重い木を次々と運び、せっせと穴を掘り、ドコドコと柱を立てていく。6時には完了してしまった。仕事の段取り、こまやかな手技、仕事のコツ、3時間足らずの間にこのスーパー爺さんから学ぶことのなんと多いことか。
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我が家の前に突如として現れた「はさ」、近所のみなさんぶったまげ。

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春作業のスタートはボカシづくりから。米ぬか、もみ殻、くず米、くず大豆。農業の副産物が極上の肥料になります。
一カ月ほど発酵させたら、主に無農薬の田んぼと、家のまわりの野菜に使います。

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裏のカミノウラさん家と協働でキノコの駒打ち。5年目の恒例行事です。

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天気最高。

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あ、初コゴミ。いよいよ春が始まりました。
2019-04-14 23:00 : 野良しごと : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

季節の便り 2019年3月

そわそわ

春が来た!
 暖冬、小雪の冬は、あっという間に過ぎました。
 フキノトウも、キクザキイチゲも、小鳥のさえずりも、一番ガエルの泣き声も3月から出番だなんて、雪国に暮し始めて初めてのことです。
いつもより半月ほど早い時の流れに、いちばんそわそわしているのは人間です。
ヒガシの父ちゃんは車のタイヤ交換を4回もしました。
替えては雪が降りまた替えなおす。を4回!
山からは木を伐る音。納屋では道具の手入れ。
静かだった村が、春に向かうこの季節。
自然の変化を感じながら、近づく春に向けて気持ちを盛り上げていく村の人達。のんびり屋の僕もさすがにそわそわ。
さあ、今年も始まります。

きなこ豆
 前回に続き、青大豆の話題。
 我が家でつくる青大豆は、地元(旧吉川町)在来の希少品種です。
 移住したての頃から面倒をみてくださった一人、山本さんという農家に代々伝わる青大豆です。きな粉にすると「たいそううんめえ」ということでこの名前。ストレートなネーミングもいいですね。
 煎りじゃんじゃろとして豆菓子にも化けましたが、最近いちばんおいしい食べ方だと思うのは、水煮。一晩水に浸けた豆を15分くらい煮るだけ。とても甘くて、後を引きます。
 まるで枝豆を食べているような風味には驚きます。
 春の通信(4月上旬)で、皆様にもおすすめできそうな予感です。
2019-03-20 13:03 : 季節の便り(荷物に入れる手紙) : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

心を痛める力

辺野古沖の新基地に関する沖縄県の県民投票が行われ、反対多数という民意が示された。
投票率の高さも驚きだが、玉城知事が選挙で獲得した票数よりはるかに多い「反対票」は強烈だ。
新基地建設にテーマを絞って、これだけ明確な意思が示された。
普段政治家を決める選挙では見えにくい、本当の民意が立ち現れた。

このことを「真摯に受け止める」政府は、埋め立て工事を進める手を緩めない。
「基地負担を減らす」と従来の主張をうわごとのように繰り返す。
「新基地はいらない」という民意をくみ取ることができないのか、無視しているのか、答えがズレている。
「謙虚な言葉だけ並べておけ」という態度を「真摯」とは言わない。
お得意の道徳も、国語も、なっていない。恥ずかしいくらいなっていない。

政府の姿勢は残念だが、大切なのは沖縄県民ではない僕たちが、この投票結果をどう受け止めるかだ。
これは「政府vs沖縄」の問題ではない。
同じ国民が、地方であえぐ家族が、訴えているその声にちゃんと耳を傾け、自分のこととして考えられるかどうか。
心を痛める力が試されている。

もし僕の身近で、海が埋め立てられ、空から軍用機が落ちてくる恐怖におびえ、家族がレイプされたらどうか。
想像することをやめてはいけない。嫌な気持ちになってもやめてはいけない。
リアルに苦しむ彼らに比べれば、想像くらい。やめてはいけない。
見て見ぬふりはいじめの基本。いじめる側である。

県民投票は政策と民意の歪みを表すサイン。
未熟な民主主義では見えない本当の民意を教えてくれるサイン。
民主主義のプロセスがまちがってはいませんかというサインだ。
そのサインを国民みんなでくみ取って考える機会。
とくに地方に暮す僕たちは、明日の自分事として考えておく貴重な機会だ。
地方の歪みがもみ消されて常識となれば、次は僕達の暮らしがその常識に包み込まれてしまう。

「仕方ない」という人がいる。
そういう人を僕は許さない。
「仕方なく」国家の犠牲になることが正当なら、僕らは明日徴兵され、他国の人と殺し合うことを拒否することはできない。

僕は弱い自分の心に潜むいじめっ子を追い出したい。
自分事として想像して、この問題を考えまくって、心を痛めまくって、心に涙を流して。
強くなりたい。

2019-02-27 01:07 : 思索ノート : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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プロフィール

鴫谷幸彦

Author:鴫谷幸彦
青年海外協力隊、農業系出版社など経て、新潟県上越市吉川区の山村に移住。2年間の研修ののち2014年春に就農しました。

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