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のら紡ぎ唄Vol.20

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▽3月上旬の暖かさといったら、もう本当に冬は終わるかと思うほどでしたが、その後寒い日が続き、何度か雪も降り、足踏み状態。4月になりようやく春めいてきました。今は山陰に雪が残るくらい。例年より少し早い雪融けです。
▽雪が少ないと、心配されるのは田んぼの水です。この地では3mも積もる雪が米づくりに欠かせない水に変わります。雪融け水はすぐに川に流れるものもありますが、多くはブナの森が吸い上げ山の伏流水となり、抱負な水量を持続します。しかし雪の少ない年は水量が減ってしまいます。
▽なので水がまだある早いうちに、田植えを終えてしまいたい。村中に焦る気配が漂っています。のんびり屋のたましぎ夫婦もいつもより早い春作業を始めました。

▽種もみを水に浸け、納屋からガタゴトと道具を引っ張り出し、ネギや盆花のタネから蒔きはじめました。田んぼをぐるりと見て回り、雪の重みで崩れた土砂をどかし、山水を引き込む溝を掘り……やることは盛りだくさん。あ、すじ撒き(お米の種まき)の準備もしないと。

▽86歳で現役農家のゲンイチさんが、昨秋から考えていたというアイデアを提案してきました。我が家の前に稲束をかける「はさ」を作ろうというのです。
今まで無農薬のこしひかりは、田んぼの中に三脚を立てたり、他人様のはさを借りて干していました。家の前にはさができれば、効率的ですし、なにかと干しものには便利です。なによりこのじい様が、目をキラキラさせて「どうかね?」と提案してくるときは大概面白いもの。乗らないわけにはいきません。この時点で夕方3時30分。
▽すでに秋冬に目星をつけて伐り倒しておいたという木を集めて回ることに。太さ40㎝長さ6mの大木を6本、あちこちから運び、深さ50㎝の穴を6カ所空け、そこにドコドコと柱を立てました。夕方6時には終了。あっという間の出来事でした。その間、木の倒し方、重い木の積み方、穴の掘り方、木の立て方と、細やかな技と工夫がたくさん出てきて、とても勉強になりました。昔からこの地で生きてきた人の知恵と経験は本当に芸術的です。
▽このはさ、秋までは例えばカボチャを空中栽培したり、朝顔を咲かせたり、使い方を考えるも楽しいです。そしてなにより、秋にこのはさいっぱいに黄金色の稲束をかかることを想像すると、もう嬉しくてうれしくて!

▽今年はまた田んぼが増えました。冬の間作付けをあれこれ考えて、稲作は現状維持。野菜やソバを増やすことにしました。野菜は手がかかりますが、今回新しく借りる田んぼは水が乏しい田んぼ。畑として使うほうがいいかなーと考えました。また忙しくなります。でも夫婦力を合わせて、なんとか頑張りぬきたいと思います。

▽歩き始めた娘は毎日お外に行きたいと嘆願。お日様を浴びて、よちよち歩いたり、畑で土や草をいじったり、毎日冒険です。
▽僕達夫婦も、毎年新しいことに挑戦しながら、終らない冒険を続けています。今年はどんな発見があるでしょうか。どうか応援よろしくお願いします。
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2019-04-30 04:09 : のら紡ぎ唄(農園通信) : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

のら紡ぎ唄Vol.19

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▽全国的にインフルエンザが猛威を振るい、暖冬なのに史上最大の寒波が襲いと、ニュースを見聞きするたびに、各地に暮す皆さまはどうなさっているか心配しております。
▽石谷は暖冬のおかげで積雪1m~1m50cmをうろうろ。晴れ間も時々あって「いい塩梅」です。薪ストーブで部屋を暖かくし、なるべく人混みを避け、村の中で暮らしていますので家族3人今のことろ風邪はひいてません。春までもう少し、油断しないように行きたいと思います。

▽この冬も味噌の仕込みをしています。
▽前代表のたっちゃんが味噌づくりを完全に引退しました。25年間変わらぬ仕事を繰り返してきた彼女の偉大さを強く感じています。6年間一緒に仕事をして、教わったことをどれだけ守れるか、その重圧も感じています。
▽とはいえこの間に自分たちでやってみたなりに、彼女の仕事が理解できるようになったという手ごたえがあります。まずはよい麹。そして豆の煮具合。全身全霊で麹と豆に向かい合ってすべては「同じ味」を出すために、味噌づくりの日々です。

▽冬は昨年の農業を振り返り、今年の作付けを考える季節でもあります。
▽あれがうまくいけば、こっちがうまくいかずと、面積が増えてくる中で、あれこれ試しながら5年が過ぎました。うまくいかなくてもすぐには諦めず「3年は作ってみる」という自分ルールで、失敗を元に修正をかけてきました。
▽お米、ナス、かぼちゃ、とうもろこし、ブロッコリー、カリフラワー、大豆、小麦、ソバ、落花生。作物にはそれぞれ役割があり、草を抑えるもの、土を肥やすもの、病気を抑えるもの加工品の原料になるもの、稼ぎの柱になるもの……。その役割を上手に組み合わせて、田んぼや畑をくるくると回すこと(輪作といいます)は、持続的で環境にもやさしい農業です。そんなスタイルが少しずつ決まってきたように思います。
▽技術的にはまだまだ未熟ですし、いつも後手後手で落ち着かない農業です。きっと一生かけて理想を探して近づけていく、でもとうとうたどり着かず終わってしまうのかもしれません。だからこそ農業は魅力的で、前を向いて働けるのだと思います。
▽今目の前にある美しい農村は、この村の先輩たちが作ってきたものです。これを引き継ぎ、営みの中で美しさを守れるようになりたい。そのためにもっともっとがんばります。

▽娘は1歳になり、毎日よく食べ、よく歩き(もうすぐ走り出しそう!)、よく泣き、よく笑い、よく寝ています。そんな彼女から学ぶことのなんと多いことか。周囲を明るくし、まっすぐに全力で日々を生きる彼女のように、お父ちゃんもお母ちゃんもならないとね!

どうぞ皆さまもよく笑って過ごせますように、雪国より祈っております。

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2019-02-20 02:32 : のら紡ぎ唄(農園通信) : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

のら紡ぎ唄Vol.18

どんぐり

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▽春に植えられたチクチクと小さな苗たちは、夏の干ばつを乗り越え、秋の長雨を潜り抜け、収穫の季節を迎えました。
▽稲刈り前の石谷の風景は格別です。集落を南北に挟み込むようにそびえる斜面には、無数の田んぼが積みあがり、大きい田んぼも小さい田んぼも、丸い田んぼも三角の田んぼも、短く刈られた畦草の緑色に縁どられ黄金色の穂がキラキラ輝きながら揺れています。そして稲の上を吹き渡る風にのせられ漂う香りは、太陽と新米の香り。

▽今年は昨年と真逆の天候不順に悩まされた一年でした。昨年は夏の寒さと秋の長雨に泣かされましたが、今年は夏の水不足と高温で稲が枯死する寸前までダメージを受けました。稲が穂を出す時期は一番水が必要な時期でしたが、山の湧水に頼る田んぼは大きくひび割れ、表面は白く乾き、熱風に揺さぶれる青稲を見ると苦しくて苦しくてつらい夏でした。しかし枯れずに踏ん張ったのは稲の力には驚かされました。稲の限界と底力を感じた一年でした。収量は思ったとおりとても少なく、正直落ち込みました。
▽でも新米を一口食べたら、落ち込んでいた自分がとても小さく思われました。そしてじんわりと心が温かくなりました。このツヤ、香り、甘み、粘り、今年だけのこの味を僕は忘れません。おそらくこれからの農家人生の中でも指折りの不作年になっただろうこの年に、稲が踏ん張って実らせてくれたこのお米一粒の味を、忘れてはいけないと思いました。そして大災害に収穫まで至れなかった被災農家のこと、土砂に飲み込まれ命を奪われた北海道の農家のことも。僕達農家は自然に振り回されながらも、自然に寄り添って生きるのが宿命なのだと痛感しています。
▽この後、アワ、大豆、落花生とまだまだ収穫は続きます。立ち止まっている暇はありません。冬に向け、来年に向けて、がんばらないと。

▽娘の柚希は来月には1歳になります。
▽ハイハイすらなかなかうまくできなかった夏。それができるようになったと思ったら、最近はつかまり立ち、つたい歩き。新しい世界への好奇心で毎日ハイテンション。離乳食の時間になると自分で前掛けを持ってくるほどの食欲でぐんぐんと育っています。あいかわらず外が好きで、畑に出る妻の背中ではしゃいでいます。

▽農家としても親としてもまだまだ駆け出し。皆さまの温かい支えがなければまるでダメなたましぎ夫婦です。
▽少しでもこの村の、この田んぼに吹く風や生き物たちの気配が食卓にも届きますように。今年も皆さまの顔を思い出しながら米づくりができました。
▽そんな今年だけの僕たちのお米を、皆さまに食べていただければ幸いです。

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2018-10-25 22:25 : のら紡ぎ唄(農園通信) : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

のら紡ぎ唄Vol.17

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朝顔4
▽西日本豪雨で被害に遭われた方々の暮らしが一日も早く戻ることを祈っています。
▽僕達の住む地域は大雨の被害には逢いませんでしたが、今、目の前に迫る危機は干ばつです。もう3週間も雨が降らず毎日照り付ける太陽。稲は8月上旬に穂を出します。出穂期(しゅっすいき)といい稲がもっとも水を欲しがる時期です。水がなければ米は粒にならずに終わってしまいます。田面は白く乾きひび割れが激しくなりました。せめて夕立でも一雨あればと祈る日々です。
▽今年は田んぼを使って野菜作りに力を入れています。とくに漬け物用の十全ナスと、とうもろこしは昨年の2~3倍の作付けです。ここまでなんとか順調に育ちました。収穫期に入りハクビシンやタヌキから守り切れるか、真剣勝負です。
▽娘の柚希は8ヵ月目。離乳食をしっかり食べられるようになり、野良仕事をする妻に背負われるのが大好き。ふくふくと育っています。まだうまくハイハイできず、本人の意思に逆らい後ろに後ろにと下がるばかり。母ちゃんもおもちゃも遠のいていき、泣きオチ。
▽全国的に暑い日が続いていますが、石谷も例外ではありません。ただ朝夕は実に涼しくほっとします。農作業も早朝と夕方に集中できますし、お米や野菜はこの昼夜の温度差で甘みを増します。
▽カエルの合唱から秋の虫やヒグラシのシンフォニーに演目が移り、いよいよ収穫の秋が近づいてきました。雪融けからあっという間に秋。お天気次第の農業の難しさを強く感じながらも、無事に収穫出来たらどれだけうれしいことかと、今日できることを信じてやっています。
▽国会で十分な審議がされぬままにTPPの批准が決議されました。アメリカに誘われてしぶしぶ参加していたはずの日本がいつの間にやら先導する立場に。TPPは農業問題ではなく、私たちの暮らしの在り方の問題です。すべてを自由経済に任せてしまうということは、儲かる人が儲かり、いっぽうで飢餓を生み、環境破壊を加速度的に進めることになります。
▽自然と共生する暮らしを続けてきた世界中の農民たち。この村にも70~80代となりなお踏ん張って暮らしています。彼らの存在の大きさをますます感じる日々です。その技術と生き方を継承しなければならないと思っています。狂い始めた自然と、人間の営みを元に戻すためにも、今日の野良仕事です。
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2018-09-14 01:46 : のら紡ぎ唄(農園通信) : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

のら紡ぎ唄 Vol.16

ツバメ6



 3mに達した大雪はいつになったら解けることやら。今年の春作業は遅れるだろうな……と思っていました。
 ところが3月後半のあの暖かさといったら。雪はぐんぐんと解けて、田んぼの畦が姿を見せました。
 雪解け水で集落を流れる川は増え、ゴーゴーとうなっています。ひそひそとしていた小鳥はいきいきと、サシバやウグイスはのびのびと、春の空気と光を浴びて高らかに鳴いています。
春の報せは村の人も持って来ます。「フキノトウが採れた」と天ぷらにして、「川原で早いコゴミをみつけた」と袋一杯にして。そうしてから本命の娘の顔を眺めて満足げに帰っていくのです。

 娘の柚希は5カ月目を迎えました。暖かくなったので、妻が外に連れ出すようになりました。
 大きな杉の木に口をぽかんと開けたり、まだ少し冷たい風を肌で感じたり、太陽の光に目をしばたたかせたり、通りがかった誰かに声をかけてもらったり。なにもかもが新鮮で、彼女の世界は少しずつ広がっています。
 それはまるでこの村に来た頃の自分たちのようです。限られた人間が住むせまい村かもしれないけれど、今までの暮らしとは全く違う発見の毎日。ダイナミックな季節のうつろい、記録が間に合わないほどの一瞬の感動の連続。石谷暮らしはたった数年先輩の僕達です。これからも「ほぼ同級生」の娘と一緒に冒険と感動を繰り返し、この村のいいところをいっぱい集めていけるような気がします。

 8tもの味噌の仕込みがやっと終わり、遅れ気味の春仕事をぼちぼちと始めました。妻が首の座った娘をおんぶし野菜のタネを蒔いています。僕は稲の種もみを温水で消毒し、水に浸け始めました。冬前にあれこれ詰め込んだ納屋から、道具や機械を引っ張り出してきました。毎年同じことの繰り返しですが、こうやって野良仕事ができる、この喜びはいったいなんなのでしょうか。
やわらかい春の日差しのように、新しい気持ちでいっぱいになっています。
汗と泥にまみれてクタクタになるまで働いていた夏のことなんて、すっかり忘れてしまったみたいに。

 この便りがみなさまに届くころには、石谷の桜も膨らみちらほらと開花が始まるでしょうか。
 今年はどんなコメ作り、野菜作りになるでしょうか。今年も村の風と一緒に農産物がお届けできるよう、親子三人がんばってまいります。どうぞ応援よろしくお願いします。

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2018-04-20 05:02 : のら紡ぎ唄(農園通信) : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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プロフィール

鴫谷幸彦

Author:鴫谷幸彦
青年海外協力隊、農業系出版社など経て、新潟県上越市吉川区の山村に移住。2年間の研修ののち2014年春に就農しました。

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