FC2ブログ

収獲の秋、食の劣化に思考巡らせつつ

優しい光と風。この数日、急に秋めいてきた。
朝晩は長そでを一枚羽織らないと寒いほど。あの暑さはなんだったのかと思い返すと同時に、ああ、ここは雪国の山間地だったと思い出され、急に秋じまいバージョンへと心がスイッチする。
s-P9134759.jpg
たましぎ農園の稲刈りが始まった。
6年目の米づくりは、これまた今年だけの、今年しか味わえない米づくりだ。
6月中旬に妻の妊娠が発覚。
長女のときには軽かった悪阻が、今回はひどく、妻を苦しめた。
しかも長い。長い長い苦しみの末、最近ようやく落ち着く日があり、ほっとしている。
おめでたい話なのだが、農業は大変だった。
一人目の時と違い、長女の世話というミッションが加わり、僕はなかなか農業に集中できなかった。
おはようからおやすみまで、時に背負い、時に叱り、時にケンカし、時に遊び、そして疲れて二人で眠る。
貴重な経験を通しわかったことは一つ。
母業のなんと大変で尊いことかということ。
ありがとう母ちゃん。

子守を忙しさの理由にして、農作物への管理が滞ってしまったこと。
お客様への対応がおろそかになったこと。
(とくに夏の通信を出せなかったことは本当に申し訳ありませんでした)
反省ばかり。

家族が増えるかもしれないという、掛け替えのない幸福感がなかったら、がんばることはできない。
父ちゃんは頑張らないといけない。
家族のために頑張る時だ。

稲刈りシーズンになると、この村は活気づく。
夫婦げんかも頻発する。子や孫が手伝いに顔を出す。
天気で左右される稲刈り。近年の異常気象は父ちゃん母ちゃんの機嫌に大きく影響を及ぼす。
それぞれの田んぼに向かっているようで、村全体がこの季節に全力で取り組んでいるような、そんな季節だ。

コンバインという便利な収獲機械が登場して久しい。
平野部では戦車のように巨大なコンバインが轟音を鳴らし、大量の稲穂を飲み込んでいく。
ここ山間部では、20年前の機械が活躍するのにちょうどいい。
小さくても応用のきく、小さな機械は、農家の手の延長だ。
刈りそびれた1株の稲穂を、機械の後ろから母ちゃんが手刈りする。
時に父ちゃんが機械を降りて、手刈りする。
それを機械に入れる時の丁寧な仕草。
一粒も無駄にしまいという心が生み出す農家の所作は本当に美しいなと思う。

そして最近強く感じる「食の劣化」へと、農家になりきれていない僕は連想をする。
「無限ピーマン」とやらが話題だとか。
ピーマンをおいしくいくらでも食べられる簡単レシピだ。
試してみた。
一口食べて味の濃さに驚く。
胸がむかついてしまった。
「もう作らなくていいね」と妻。

先日、コロッケをいただいた。
形状や食感から既製品でないことは容易に想像できたが、手造りであるはずのそのコロッケにも、味の濃さと胸やけを誘発するような特有の風味が含まれていた。
家庭でつくる料理にまで、知らず知らずのうちに入り込んでしまった、この特有の風味にショックを受けた。
我が家の料理はけっして華やかではない。
畑でとれた野菜ばかり。味付けは薄くてシンプル。
田んぼでとれたお米で炊き立てのご飯。
味噌は自分たちの大豆で仕込んだ川谷みそ。
お米と味噌は貯蔵できるし、野菜は家のすぐ裏からとれる。
なにか災害があって、この山村が孤立しても、たぶん半年以上生きる自信がある。
自信じゃない、安心だな。
s-P9104735.jpg
日本の食料自給率が低いということは多くの国民が知るところだ。
しかしどうして食料自給率が低いことが問題なのだろうか。
ぜひぜひ考えてほしい。
s-P9104738.jpg
自由貿易がよいことのように声高に推進される現在において、食料自給率の必要性自体が問われています。

僕の話はもう少し先にします。
s-P9124752.jpg
収穫の秋、ひとりひとりが自分で考えてほしいなと思います。
s-P6023326.jpg

あ、我が家のオンドリが鳴きました。朝ですね。
今日も農作業がんばろっと!
スポンサーサイト



2019-09-14 05:22 : 野良しごと : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

春が始まりました

s-IMG_1079.jpg
家の前の「たましぎガーデン」にセツブンソウが咲いた。

s-P4114357.jpg
まだ山道には雪が残るが、今年から借りる田んぼを見に行ってみた。なかなか高度感あふれる棚田に、さすがに怖いもの知らずの娘もたじろく。

s-P4114361.jpg
86歳のゲンイチさんが、昨秋から温めていたアイデアを提案。我が家の前に稲束を干す「はさ」を立てようというのだ。
老人会で気持ちよく酔っぱらったゲンイチさんは興奮気味に今からはさを作ろうという。午後3時30分。
すでに何本か木を伐ってあるというので、一緒に山に行く。えらい重い木を次々と運び、せっせと穴を掘り、ドコドコと柱を立てていく。6時には完了してしまった。仕事の段取り、こまやかな手技、仕事のコツ、3時間足らずの間にこのスーパー爺さんから学ぶことのなんと多いことか。
s-IMG_1076.jpg
我が家の前に突如として現れた「はさ」、近所のみなさんぶったまげ。

s-P4124375.jpg
春作業のスタートはボカシづくりから。米ぬか、もみ殻、くず米、くず大豆。農業の副産物が極上の肥料になります。
一カ月ほど発酵させたら、主に無農薬の田んぼと、家のまわりの野菜に使います。

s-P4124376.jpg
裏のカミノウラさん家と協働でキノコの駒打ち。5年目の恒例行事です。

s-P4124378.jpg
天気最高。

s-P4124384.jpg
あ、初コゴミ。いよいよ春が始まりました。
2019-04-14 23:00 : 野良しごと : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

ナス、トウモロコシ、収穫大忙し

今年の重点作目ナスとトウモロコシがいよいよ収穫シーズンを迎えた。
ムジナ(タヌキ)やハクビシンに狙われているので、ネット&電気柵をぐるりと張った。
s-IMG_0698.jpg

s-IMG_0697.jpg
ピカピカの十全ナスは、川谷生産組合でおいしい漬け物になります。
陽気のおかげで過去5年で最速の初収穫だ。

そしてこちらトウモロコシ1500本。
こちらも陽気のせいで8月からの収穫予定が10日ほど早まった。
s-IMG_0703.jpg

s-P8113647トリミング
7月25日頃からは収穫本数もぐんと増えたので、毎朝3時から収穫しないと間に合わなkうなった。
s-P7243594.jpg
多い日は一日100本。
道の駅だけでは売り切らないように思い、車で1時間のところにある農協の直売所「あるるん畑」に会員登録した。
でも大概は道の駅だけではけてしまう。
このあたりで、大規模にとうもろこしを作っている農家がいないということを初めて知る。みんな夏休みはとうもろこし欲しいのに、供給がぜんぜん足りていなかったのだ!
s-P7243595.jpg
こんな感じに一本ずつ袋詰め。虫食いや先端不稔は我が家のおやつになる。
s-P7243596.jpg
この夏は歯ぐきから血が出るほどとうもろこしを食べた。
s-P7203576.jpg
しかし暑い。雨が降らない。
暑い日は水浴びだ!
2018-08-08 23:39 : 野良しごと : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

竹ぼうき除草、大豆の新しい挑戦、けんちゃん来る

s-P6023334.jpg
田植えから1週間が過ぎてしまい、あわてて無農薬の田んぼで5連の竹ぼうきをひっぱった。
雑草を抑えるためだが、もう草が芽を出してしまった。見えないうちから草取りをするのが「上農」と昔からいう。
今年も僕は下農でござる。

大豆の種まきは天気にも恵まれ順調にできた。
今年は吉川在来の青大豆を20a、味噌用のエンレイという黄大豆を5a蒔いた。
僕が管理機のタイヤで蒔き溝をつくり、後ろから妻が種をまいていく。娘も背中で応援だ。
s-P6103381.jpg

10日ほどで発芽した大豆畑に、今度は管理機で中耕する。
草を抑えるのと、根に空気を補給するためだ。
草が芽を出す前にタイミングよく中耕できた。大豆に関しては上農でござろうか。
今年の初挑戦は狭畦密植という栽培法。
大豆の条間を80cm→50cmと狭くし、密植するというもの。
密植された大豆は競い合うようによく成長する。また草を抑えるための中耕作業は通常3回必要なところ、狭い条間なら2回でいい。大豆が成長し狭い条間はすぐに葉っぱで覆われる。影ができ草が抑えられるというわけだ。
s-P6263464.jpg

弟分のけんちゃんが久しぶりに訪ねてきてくれた。
たくさん話をした。娘にバケツ太鼓を教えてくれた。けんちゃんは体は大きいが、心はか弱い。でもその分、とても優しい。
そしてゆっくりではあるけれど、ちゃんと自分らしい生き方に近づこうとしている。
s-P7193570.jpg
彼は純粋で、そして世の中に流されない自分を確立しようとしている。
だから僕は彼に魅かれる。僕に足りないものを持っているから。
s-P7193572.jpg
また来てね。君の未来に、僕たちたましぎ家族はわくわくしているんだよ。
2018-06-18 23:05 : 野良しごと : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

5年目の米づくり②

野菜の植え付けに追われ、田んぼの準備がすっかり後手に。
田んぼに入れる水源は様々だ。
川を堰き止めてつくられた大きな用水は、村中で掃除をして引き込む。
用水がかからない田んぼでは、沢や横井戸からちょろちょろ水を上手に引き込む。
石谷の長老ゲンイチさんに教わった方法で今年も田んぼに水を入れた。
岩肌に生えたウツギはよくしなる。このウツギから吊るようにホースをひもでつないでおくと、大雨で沢の水位が上がってもホースが浮くので、ホースが流されることがないという技。今年で3年目、コツがつかめてきた。
s-IMG_0620.jpg

田んぼの山側には、「そよ」と呼ぶ溝をほっておく必要がある。
山から染み出てくる水をコントロールするために欠かせない春の大事な作業だ。
今年は田んぼが2倍近く増えたので、そよづくりも大仕事になった。
夕方、今日できた「そよ」を眺めると気分がいい。明日もがんばるぞー。
s-IMG_0622.jpg

田んぼに水が回った。水を入れてベトが軟らかくなったところでいよいよ田起こしになる。
s-IMG_0633.jpg

今年は消防団の先輩から譲ってもらった歩行の田植え機で1.7haを植えてみることにした。
慣れない機械でまっすぐ植えられない。
s-P5233239.jpg
石谷で田植えが終わっていないのは我が家だけ。いつものことだ。
s-P5243247.jpg
ヒガシさんちから、田植え時のこびり(小昼)にと、朴葉飯が届く。
アツアツの山菜ごはんを若い朴葉にくるむとすごく香りがいい。これもまた、春の恒例。ありがたい。
s-P5243243.jpg

歩行の田植え機は、冬の間なまった体には結構厳しい。日に日に疲れがたまり、あちこちが痛い。
それでも天気がいいから、気分はいい。
妻が娘を連れて昼ご飯を持ってきてくれた。
s-IMG_0651.jpg
昼寝をしたら再開だーzzzz
s-IMG_0652.jpg
2018-05-25 22:40 : 野良しごと : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
ホーム  次のページ »

プロフィール

鴫谷幸彦

Author:鴫谷幸彦
青年海外協力隊、農業系出版社など経て、新潟県上越市吉川区の山村に移住。2年間の研修ののち2014年春に就農しました。

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR