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自分のクイブチくらい

晴れ間を見つけては稲刈りを進めている。
今年は夏の干ばつがたたり、実りが悪い。
それでも秋晴れの日の収穫作業はすがすがしく、家にとりこんだ新米の香りは格別だ。
あと少しで昨年のお米が底をつくというタイミングでうれしい新米がとれた。
少なくったっていい、よくがんばってくれた稲に感謝するしかない。
ありがとうございます。これでまた一年食べていけます。

稲刈りの頃になると、村中が活気づく。
近く遠くに住む家族が手伝いに来るので、村の人口が一時的に3倍くらいになる。
この村には70代後半の農家がほとんどで、80代半ばでバリバリ現役農家もいる。
彼らがすごいなと思うのは、この年になっても自分たちの食い扶持を自分たちで育て、なおかつ余ったものを他人に売っていること。
農業はそういうものでしょ、と言われればそれまでだが。

自分のクイブチを収穫するこの村の活気とは逆に、テレビのニュースではしきりに景気のこと、株価のこと、世界経済の行く末を案ずる話題にあふれている。
どうしてそんなに不安なのだろうか、ふと疑問に思った。
疑問に思って、この村の生き生きじい様、張り切りばあ様たちと比べて、僕は考えた。
それはきっと、自分たちの食べるものを自分たちでつくれない人が増えているからじゃなかろうか。

食べ物を金で買うことしかできない人達にとって、金の価値が高まり続けること、金が回り続けることは大切なことだ。
むしろなくてはならないことなのだと思う。

この国の総理大臣は横暴なアメリカ大統領と会っている。
自動車の関税が怖くて、農業分野の貿易交渉に応じる構えだ。
自動車で稼いだお金で食料を買い続けるつもりなのだろうか。
経済の先行きを心配し続けながらお金の価値にだけ望みをつなぐつもりなのだろうか。
世界に誇るモノづくり日本は、世界に誇る豊かな土壌を荒らして、他国から貴重な食料を買い占めるつもりか。
どうせそれも大量に廃棄するくせに。

自国の安全保障や、世界の飢餓、環境問題、世界経済の行く末、どれもこれも難しい問題のようで、その根っこは同じ。
自分のクイブチくらい自分でつくれる国にならなければならない。
この国にはそうなれる土壌と農家の知恵がある。
そしてそれを支えているのは、田畑で汗水流す老農たちであることをもっと心に刻まないとならない。
土壌と知恵を引き継がなくてはならない。

希望はある。捨てるにはもったいない希望がまだある。
あとはこの国の若者よ。
農家になりませんか。
自分たちのクイブチをつくれる日本人になってはみませんか。
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2018-09-24 23:16 : 思索ノート : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

のら紡ぎ唄Vol.17

朝顔1朝顔2
朝顔4
▽西日本豪雨で被害に遭われた方々の暮らしが一日も早く戻ることを祈っています。
▽僕達の住む地域は大雨の被害には逢いませんでしたが、今、目の前に迫る危機は干ばつです。もう3週間も雨が降らず毎日照り付ける太陽。稲は8月上旬に穂を出します。出穂期(しゅっすいき)といい稲がもっとも水を欲しがる時期です。水がなければ米は粒にならずに終わってしまいます。田面は白く乾きひび割れが激しくなりました。せめて夕立でも一雨あればと祈る日々です。
▽今年は田んぼを使って野菜作りに力を入れています。とくに漬け物用の十全ナスと、とうもろこしは昨年の2~3倍の作付けです。ここまでなんとか順調に育ちました。収穫期に入りハクビシンやタヌキから守り切れるか、真剣勝負です。
▽娘の柚希は8ヵ月目。離乳食をしっかり食べられるようになり、野良仕事をする妻に背負われるのが大好き。ふくふくと育っています。まだうまくハイハイできず、本人の意思に逆らい後ろに後ろにと下がるばかり。母ちゃんもおもちゃも遠のいていき、泣きオチ。
▽全国的に暑い日が続いていますが、石谷も例外ではありません。ただ朝夕は実に涼しくほっとします。農作業も早朝と夕方に集中できますし、お米や野菜はこの昼夜の温度差で甘みを増します。
▽カエルの合唱から秋の虫やヒグラシのシンフォニーに演目が移り、いよいよ収穫の秋が近づいてきました。雪融けからあっという間に秋。お天気次第の農業の難しさを強く感じながらも、無事に収穫出来たらどれだけうれしいことかと、今日できることを信じてやっています。
▽国会で十分な審議がされぬままにTPPの批准が決議されました。アメリカに誘われてしぶしぶ参加していたはずの日本がいつの間にやら先導する立場に。TPPは農業問題ではなく、私たちの暮らしの在り方の問題です。すべてを自由経済に任せてしまうということは、儲かる人が儲かり、いっぽうで飢餓を生み、環境破壊を加速度的に進めることになります。
▽自然と共生する暮らしを続けてきた世界中の農民たち。この村にも70~80代となりなお踏ん張って暮らしています。彼らの存在の大きさをますます感じる日々です。その技術と生き方を継承しなければならないと思っています。狂い始めた自然と、人間の営みを元に戻すためにも、今日の野良仕事です。
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2018-09-14 01:46 : のら紡ぎ唄(農園通信) : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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プロフィール

鴫谷幸彦

Author:鴫谷幸彦
青年海外協力隊、農業系出版社など経て、新潟県上越市吉川区の山村に移住。2年間の研修ののち2014年春に就農しました。

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