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季節の便り 2019年5月

早くも苦戦?

苗半作
 農業には「苗半作」という言葉があります。
 苗さえよければ半分はできたもの、というくらい、苗づくりが命運を決めます。逆に、苗づくりは難しいということだと思います。
 冬の間いろいろと勉強したり、人の話を聞いたりするうちに、米づくりを苗づくりからやり直してみようと、気持ち新たにしました。
 種モミの質と量、温度管理、水管理、そして植えるタイミング。
 これらの要素を一つ一つ気を付けていると、今まで見落としていたことに気づかされました。たとえば苗の葉っぱの出方です。ちょっとの管理の違いで、茎が伸びすぎたり、1枚目の葉と2枚目の葉の長さに変化が生まれたりします。人間の所作に、敏感に反応し、姿に現れるなんて。
 過保護でもだめ、いじけさせてもだめ。微妙で難しい世界は、のめりこむと実に面白いものです。

田んぼの準備で苦戦中
 育苗に集中している間に違う問題が。
もっと作りやすくするために、昨秋、田んぼの工事をしました。地元の建設会社さんにお願いしたのですが、春になって耕し、いざ代かきの段になって、おかしなところに気が付きました。水がすぐにあふれたり、田んぼの高低差が大きくなっていたり。代かきをしても代にならず、頼みの雨もほとんど降らず。そうこうしているうちにせっかくの苗が黄色くなってきました……。
昨晩から今朝に、久しぶりにまとまった雨がありました。この機を逃さず代にして、植えてしまいたい! 気の休まらない春です。 (幸彦)
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2019-05-25 00:40 : 季節の便り(荷物に入れる手紙) : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

スマートアグリの可笑しさよ

新潟市でG20農相会合が閉幕。持続可能な農業のための明確な役割を果たすとした宣言を採択。
その中で気になる一文!
「イノベーションが、農業・食品分野への新規参入者、特に若者を引き付けるために重要である」
そうか?
本当にそうなのか!?

情報通信技術や人工知能、ロボット工学を活用しイノベーションを図っているのは、なにも農業だけではない。
いまだに他産業と比べて農業は収益性が低いとか、生産性が低いとか、そういう判断のもとに目指せスマートアグリとのスローガンなら実にむなしい。たとえイノベーションが図れたとしても、他産業もまたイノベーションは進む。
農業を他産業と同じ土俵に載せて、レベルを合わせたとして、若者が引きつけられるだろうか。

今、都市部から農村部へ、暮らしや仕事を求める若者が増えている。
農業をめざす若者も増えている。
その増えている若者たちの感覚と、この国の政府がやたらと進めようとしているスマート農業と、めっちゃズレていることに、なぜ気が付かないのだろうか。

今農村を目指す若者たちの興味は、農業にしかない価値観だ。
他産業と同じ何かではない。
ドローンを操縦したくて農家になっても、作物をいつくしむ眼差しを持たなければ、ただのドローンとしたヤングメンである。
ドローンを操縦しなくても、自然の理に適う仕事ができる村のじいさま、ばあさまは、死ぬまで農家だ。

イノベーションで、誰が得をするのか。
何を見失うのか。何を捨てることになるのか。
よく見極めないとならない。
農産物の市場開放も同然に、よく考えなければならない。
農家は景気のいい言葉に流されない。
農家は威勢のいいことをいう人を信じない。
農家は、耳障りのいい言葉に流されない。

それよりも、昨今の気候が気になる。
村の田んぼが、畑が、用水が、山が、景観が、荒れていくことが心配でならない。
それが農家だと思う。
生産性から考えれば、なぜこんな山奥で農業を続けるのか、そのこと自体がおかしいことになる。
スマートじゃない農業は切り捨てられることになる。

僕にとっては今年の米作り、野菜づくりが大事だ。
毎日、汗と泥にまみれてベトをかまい、水をかまい、作物の生長を楽しみにする。
データも結構。カメラ解析上等。
だけど自分の目と手の感覚と、頭をフル回転させてやってみて、作物が喜んでいるとき、この上ない幸せな気持ちになる。
イノベーションも、自分の農業や手癖に合わせて、道具を手造りしたり、機械を改造したり、不用品を活用したり、そんなイノベーションは農家の得意とするところ。昔から大得意である。

スマートなんちゃらの、入る余地はないのである。
2019-05-16 21:13 : モノモウス : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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プロフィール

鴫谷幸彦

Author:鴫谷幸彦
青年海外協力隊、農業系出版社など経て、新潟県上越市吉川区の山村に移住。2年間の研修ののち2014年春に就農しました。

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