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収獲の秋、食の劣化に思考巡らせつつ

優しい光と風。この数日、急に秋めいてきた。
朝晩は長そでを一枚羽織らないと寒いほど。あの暑さはなんだったのかと思い返すと同時に、ああ、ここは雪国の山間地だったと思い出され、急に秋じまいバージョンへと心がスイッチする。
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たましぎ農園の稲刈りが始まった。
6年目の米づくりは、これまた今年だけの、今年しか味わえない米づくりだ。
6月中旬に妻の妊娠が発覚。
長女のときには軽かった悪阻が、今回はひどく、妻を苦しめた。
しかも長い。長い長い苦しみの末、最近ようやく落ち着く日があり、ほっとしている。
おめでたい話なのだが、農業は大変だった。
一人目の時と違い、長女の世話というミッションが加わり、僕はなかなか農業に集中できなかった。
おはようからおやすみまで、時に背負い、時に叱り、時にケンカし、時に遊び、そして疲れて二人で眠る。
貴重な経験を通しわかったことは一つ。
母業のなんと大変で尊いことかということ。
ありがとう母ちゃん。

子守を忙しさの理由にして、農作物への管理が滞ってしまったこと。
お客様への対応がおろそかになったこと。
(とくに夏の通信を出せなかったことは本当に申し訳ありませんでした)
反省ばかり。

家族が増えるかもしれないという、掛け替えのない幸福感がなかったら、がんばることはできない。
父ちゃんは頑張らないといけない。
家族のために頑張る時だ。

稲刈りシーズンになると、この村は活気づく。
夫婦げんかも頻発する。子や孫が手伝いに顔を出す。
天気で左右される稲刈り。近年の異常気象は父ちゃん母ちゃんの機嫌に大きく影響を及ぼす。
それぞれの田んぼに向かっているようで、村全体がこの季節に全力で取り組んでいるような、そんな季節だ。

コンバインという便利な収獲機械が登場して久しい。
平野部では戦車のように巨大なコンバインが轟音を鳴らし、大量の稲穂を飲み込んでいく。
ここ山間部では、20年前の機械が活躍するのにちょうどいい。
小さくても応用のきく、小さな機械は、農家の手の延長だ。
刈りそびれた1株の稲穂を、機械の後ろから母ちゃんが手刈りする。
時に父ちゃんが機械を降りて、手刈りする。
それを機械に入れる時の丁寧な仕草。
一粒も無駄にしまいという心が生み出す農家の所作は本当に美しいなと思う。

そして最近強く感じる「食の劣化」へと、農家になりきれていない僕は連想をする。
「無限ピーマン」とやらが話題だとか。
ピーマンをおいしくいくらでも食べられる簡単レシピだ。
試してみた。
一口食べて味の濃さに驚く。
胸がむかついてしまった。
「もう作らなくていいね」と妻。

先日、コロッケをいただいた。
形状や食感から既製品でないことは容易に想像できたが、手造りであるはずのそのコロッケにも、味の濃さと胸やけを誘発するような特有の風味が含まれていた。
家庭でつくる料理にまで、知らず知らずのうちに入り込んでしまった、この特有の風味にショックを受けた。
我が家の料理はけっして華やかではない。
畑でとれた野菜ばかり。味付けは薄くてシンプル。
田んぼでとれたお米で炊き立てのご飯。
味噌は自分たちの大豆で仕込んだ川谷みそ。
お米と味噌は貯蔵できるし、野菜は家のすぐ裏からとれる。
なにか災害があって、この山村が孤立しても、たぶん半年以上生きる自信がある。
自信じゃない、安心だな。
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日本の食料自給率が低いということは多くの国民が知るところだ。
しかしどうして食料自給率が低いことが問題なのだろうか。
ぜひぜひ考えてほしい。
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自由貿易がよいことのように声高に推進される現在において、食料自給率の必要性自体が問われています。

僕の話はもう少し先にします。
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収穫の秋、ひとりひとりが自分で考えてほしいなと思います。
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あ、我が家のオンドリが鳴きました。朝ですね。
今日も農作業がんばろっと!
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2019-09-14 05:22 : 野良しごと : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

季節の便り 2019年8月

収穫の秋へ

太陽+育児
 目が回るように忙しく、そして暑い暑い夏が終わりました。
 気がつけば、朝日が昇る時間はずいぶん遅くなり、夜の合唱会もカエルから秋の虫へと主役が変わりました。
 仕事と家事の境目がぼんやりしている農家にとって、暮らし全体のリズムは太陽と同じです。加えて育児のリズム。太陽+育児のハイブリッドなリズムの間奏に農業が入り込むような暮らし。
 これがなかなか、不協和音で、まだまだまとまりのない我が家です。
 それでもなんとかしずつ、秋の収穫、冬じまいへと向かい転がっていく、そんな日々です。
 
お盆のイベント、運動会
 川谷地区には夏にお盆のイベントと運動会があります。
 高齢化と過疎化が進む当地には現在20軒程度。僕がここで暮らすようになってから5軒以上減りました。
 新しい移住者を呼び込もうと始めた行事や、昔からの行事は、年々参加者が減ってきました。今年はとくに少なかったように気がします。
 それでも村のみんなが顔を合わせ、肩肘張らずに楽しい時間を過ごすことは、とても意義のあることだと感じています。少ないながら、小さいながら、じょんのび(ゆったり)した気分になれることは明日からの野良仕事の活力になります。そして新しい仲間である娘。その娘にとっても「あなたが暮らしている世界」の豊かさ、人情の深さ、心のよりどころを感じてもらう貴重な機会です。
 忙しくて、忙しくて、自分のことだけを考えたくなることもありますが、どうやったって不便なこの村で暮らすためには、力を合わせて生きていく以外ないということを強く感じています。少ないながら、小さいながら、幸せを感じられる村づくりを真ん中においていきたいのです。

平成30年産米定期予約、終了です
さて今月の定期便を持ちまして、定期予約のお客様へのお届けしてきた30年産米も終了となりました。1年間本当にありがとうございました。悪天候で収量が半減した昨年。定期予約のお客様に助けられて、毎月生活することができました。妻も私も感謝の気持ちです。娘が健やかに育つことができているのも、皆さんとつながってきたおかげだと思います。
新米のご案内が遅れており申し訳ありません。月内には通信をお届けできる予定です。引き続き新しい1年もお付き合いくださいますようお願い申し上げます。                   (幸彦)
2019-09-03 00:47 : 季節の便り(荷物に入れる手紙) : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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プロフィール

鴫谷幸彦

Author:鴫谷幸彦
青年海外協力隊、農業系出版社など経て、新潟県上越市吉川区の山村に移住。2年間の研修ののち2014年春に就農しました。

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