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のら紡ぎ唄 Vol.16

ツバメ6



 3mに達した大雪はいつになったら解けることやら。今年の春作業は遅れるだろうな……と思っていました。
 ところが3月後半のあの暖かさといったら。雪はぐんぐんと解けて、田んぼの畦が姿を見せました。
 雪解け水で集落を流れる川は増え、ゴーゴーとうなっています。ひそひそとしていた小鳥はいきいきと、サシバやウグイスはのびのびと、春の空気と光を浴びて高らかに鳴いています。
春の報せは村の人も持って来ます。「フキノトウが採れた」と天ぷらにして、「川原で早いコゴミをみつけた」と袋一杯にして。そうしてから本命の娘の顔を眺めて満足げに帰っていくのです。

 娘の柚希は5カ月目を迎えました。暖かくなったので、妻が外に連れ出すようになりました。
 大きな杉の木に口をぽかんと開けたり、まだ少し冷たい風を肌で感じたり、太陽の光に目をしばたたかせたり、通りがかった誰かに声をかけてもらったり。なにもかもが新鮮で、彼女の世界は少しずつ広がっています。
 それはまるでこの村に来た頃の自分たちのようです。限られた人間が住むせまい村かもしれないけれど、今までの暮らしとは全く違う発見の毎日。ダイナミックな季節のうつろい、記録が間に合わないほどの一瞬の感動の連続。石谷暮らしはたった数年先輩の僕達です。これからも「ほぼ同級生」の娘と一緒に冒険と感動を繰り返し、この村のいいところをいっぱい集めていけるような気がします。

 8tもの味噌の仕込みがやっと終わり、遅れ気味の春仕事をぼちぼちと始めました。妻が首の座った娘をおんぶし野菜のタネを蒔いています。僕は稲の種もみを温水で消毒し、水に浸け始めました。冬前にあれこれ詰め込んだ納屋から、道具や機械を引っ張り出してきました。毎年同じことの繰り返しですが、こうやって野良仕事ができる、この喜びはいったいなんなのでしょうか。
やわらかい春の日差しのように、新しい気持ちでいっぱいになっています。
汗と泥にまみれてクタクタになるまで働いていた夏のことなんて、すっかり忘れてしまったみたいに。

 この便りがみなさまに届くころには、石谷の桜も膨らみちらほらと開花が始まるでしょうか。
 今年はどんなコメ作り、野菜作りになるでしょうか。今年も村の風と一緒に農産物がお届けできるよう、親子三人がんばってまいります。どうぞ応援よろしくお願いします。

ツバメ9
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2018-04-20 05:02 : のら紡ぎ唄(農園通信) : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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プロフィール

鴫谷幸彦

Author:鴫谷幸彦
青年海外協力隊、農業系出版社など経て、新潟県上越市吉川区の山村に移住。2年間の研修ののち2014年春に就農しました。

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